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第1回GCLSプレゼンコンペ受賞者寄稿 森田楓さん

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第1回GCLSプレゼンコンペティションで優秀賞を受賞された森田楓さんに研究紹介の記事を寄稿いただきました。

自己紹介

東京大学大学院学際情報学府修士1年の森田楓と申します。2017年に東京大学工学部物理工学科を卒業した後、IT企業に勤務しておりました。その中で、社会課題の解決のためにテクノロジーをより深く習得したいと思うようになり、2020年4月より修士課程にて勉強しております。現在は、アグリテック分野で研究に取り組んでおります。

受賞の感想

優秀賞をいただけて大変光栄です。まだ構想段階のため、これからしっかり取り組まねばと思います。コンペの際には、審査員や聴講の方々から多数のフィードバックをいただき、非常に参考になりました。このような機会に参加させていただけたことに感謝申し上げます。

プレゼンの概要

貧困、虐待など子どもを取り巻く環境は厳しくなっています。現場の方にヒアリングをしたところ、経済的なサポートは進んでいるものの、「体験の貧困」と「状況把握の困難さ」が大きな課題として存在していることがわかりました。
その課題に取り組むため、家庭用・子ども向けのIoT野菜栽培キットを提案しております。特徴としては、まず擬人化したインターフェースにすることで、子どもが興味を持ちやすいようにします。具体的には、土壌水分量をモニタリングし、水分が足りなければ「水が欲しい」というシグナルを発するイメージです。次に、子どもの好奇心に応じて、センサモジュールを追加し、自分だけの栽培キットにすることができるようにします。センサのデータはオンラインで簡単に確認・分析できるようにします。このデータのうち一部(水やりのデータなど)を支援するNPO団体などと共有することで、間接的にご家庭の状況を把握し、必要であれば支援につなげることができます。

家庭用・子ども向けのIoT野菜栽培キット

これを通して、「体験の創出」、「状況の把握」、「フレッシュな食体験」といった効果を期待しています。特に「体験の創出」については、思う通りにならない自然相手なので、野菜を育てること自体が、チャレンジする気持ちや好奇心をもたらすことができると思います。そして困難を乗り越えて自分で育てた野菜を食べることは達成感や自己肯定感にもつながると思います。

期待される効果

プレゼンの工夫

提案内容を考案するにあたって、実際に子どもの支援をされている方にヒアリングをすることに力を入れました。子ども宅食事業をされているNPO団体の方、子ども食堂経営者の方、議員の方などにお話を伺いました。それを通して、「体験の貧困」と「状況把握の困難さ」という課題に絞り込むことができました。プレゼンの中にも、ヒアリングで伺った生の声を含めたことで、課題感を効果的に伝えることができたと思います。また、副賞をいただいた場合の使い道を明確に示すことも工夫しました。具体的には、野菜栽培キットに必要な部品を詳細に調べ、製作コストを計算しました。

副賞の活用

現在、子どもを支援しているNPO団体様と協業のご相談をしており、10家庭を目安にトライアルでキットを使っていただこうと思っております。副賞は、そのキット作成に活用させていただく予定です。支援をいただき、まことにありがとうございます。

寄稿:森田楓